ヤケクソ

待ちに待った休日なのに何もすることがないなんて不本意。何かしたい。ぼーっと家でのんびりするのもいい。しかしその日は、ぼーっとする時間があるならば、自分の中に何かを取り入れたい、何かを吸収したいという気分だったのだ。と言っても、そのための術をわたしは浅くしか知らない。ない頭を絞り、とりあえず映画館に行くことを決めた。金曜日に5:58に設定しておいた目覚まし時計通りに起き、朝一番の映画館へ行った。黒川芽以主演の映画を観た。男女が肩を並べて歩いているシーンでポロリ泣いた。ああ、こんな風に誰かと歩きたいな、いいなあって思って。映画を観終わっても時計の針はまだ11:00を回っていない。まだ1日始まったばっかじゃん。このまま家へ帰るのもなんだかなあ。今から何しよう、お腹減ってきたなあ、けど一人でがっつり食べる気分にもならないし。うーん、ガストなら、手頃だしカロリー表記されてるから調整できていいかもしれない。あれ、今わたし、本当に食を欲しているのだろうか?欲してないのならわざわざ食べなくてもいいのでは?一人なんだから自分の意思でなんとでも動ける。ああそうだ、わたし今一人なんだ。そうかそうか、一人でしたわ。一人で行ってもおかしくない空間に逃げ込みたい。ねえ、それってどこ??

春の暖かさが始まる時に感じられる特有のさみしさ、切なさが今年もまた追いかけてくる。もうクラス替えも卒業もないのに。あの春の寂しさは何歳になっても感じるものなんですね。
ちょっぴり、おセンチになりながら、わたしはジュンク堂に向かっていた。本屋は私は一人ってことを忘れさせてくれそうだし、本は空っぽなわたしに何かを与えてくれそうだから。三島由紀夫沢木耕太郎の本を買った。特に読みたいと思ってたわけじゃないけど、今日朝から出かけた意味を作りたかったから。とにかく今、自分が一人で街にいるイミを証明したかった。そういうわけで、1,652円分の本をわたしは迷わずに買った。1,652円。わたしにとって安価とは言えない。ひとりの孤独を埋めるためにヤケクソだったのだ。映画、本。何にもない空っぽなわたし。